独立行政法人国立病院機構京都医療センター
臨床研究 センター予防医学研究室
室長 坂根 直樹
ポーションコントロールが肥満解決の鍵?
「ポーション」とは一人前の量のこと。肥満しやすい人は少し大きめの甘味飲料や食品を選ぶ傾向があります。
つい大盛を頼んだり、バイキングでは多めによそったりします。そして、皿の上に食事がなくなるまで食べ続けます。つまり、普段からポーションサイズ(一皿分に盛り付けられる量)が大きいのです。肥満外来では、大皿盛りを止めて小さな皿に盛る、茶碗や弁当箱を一回り小さくするなどポーションサイズをコントロールするアドバイスがよく用いられています。「塵も積もれば山となる」ではないですが、毎食の積み重ねが減量を成功に結びつけます。
ファーストレディもプレートを推進!?
米国では、子どもの肥満が大きな問題となっています。米国では、大きなサイズの甘味飲料や食品が肥満を助長していると考えられています。2010年2月にファーストレディであるミシェル・オバマ大統領夫人がホワイトハウスに独自のオフィスを設け、肥満撲滅運動“Let's move!”を全米に呼びかけました。 “Let's move!”の一環として、オバマ大統領夫人と農務省は2011年6月、皿の形をした絵で5種類の食品群(穀物、たんぱく質、野菜、果物、乳製品)を示し、バランスよく食べることを提唱している。これに伴い、レストラン業界では、ポーションサイズの見直しも始まっています。
欧米の肥満者にはプレート法を用いた食事療法が効果的
欧米では、肥満者に対してきれいな絵が描かれた丸い皿(プレート)が食事指導に用いられています。直径10インチ(23cm)のプレートに野菜(緑黄色野菜、淡色野菜)・海藻、きのこ)、脂肪分の少ないたんぱく系の食品(魚や鶏など)、パン、麺類、いも類など炭水化物系の食品を一定の比率で盛ります。これに低脂肪の乳製品と果物を添えれば、バランスのとれた食事の出来上がりです。肥満を伴う2型糖尿病の人がこのプレートを上手に用いることで、体重のみならず血糖コントロールが改善することが報告されています。
日本人の食生活に合わせたヘルシープレートの開発
しかし、日本人の食生活は、欧米とはかなり異なります。日本人の食生活に合わせたプレートの開発が必要となっていました。2年越しの試作品の後にできたのが、この「ヘルシープレート」です。このヘルシープレートは長年減量指導に携わってきた山内恵子先生のノウハウが詰まっています。まずは、ヘルシープレートを使ってみて、その便利さと満腹感を堪能してみて下さい。