今から20数年前、卵ダイエットとか、グレープフルーツダイエットという困ったダイエット法が日本中に広まったことを覚えていますか?
今の若い方はご存じないかもしれませんが、当時健診センターの健診後の栄養相談や、開業医の先生からの依頼診療という形で病態栄養相談室の私のもとに、卵の食べ過ぎでアトピーがひどくなってしまった方や、やせたけど体調を崩してしまった方が、たくさんいらっしゃいました。
当時、英国のサッチャー元首相が1979年の総選挙前、“鉄の意志”で9キロの減量に成功した2週間限定のダイエット法は、炭水化物制限食(カーボコントロール)だったと言われていますが、彼女の食べたメニューの中に卵やグレープフルーツが用いられていました。でも、正確には上手な低糖質食だったのです。
でも、当時の日本には正しい情報はあまり入ってこず、私たちの手元に回ってきたのは・・・「これはイギリスの国立病院栄養士が進めているダイエット法で、大きな成果が上がっています」といったふれこみで「卵とグレープフルーツでやせられる」といったものでした。
その後、アメリカの 大規模な1型糖尿病の研究(DCCT-1993年)でも、炭水化物管理食(糖質制限食…カーボコントロール)が利用されていたり、欧米諸国で色々な形でのカーボカウント・カーボコントロールの研究がすすめられていたのです。
近年、日本でも一部の医師や糖尿病の患者さんの間で、1型の糖尿病の患者さんの間で、徐々に炭水化物を制限する食事やその量をカウントしながらインシュリンの量を決めていくカーボカウントの研究が広まってきました。
きちんとした研究ベースで、成果をあげられてきた方法もありますが、残念なことに炭水化物さえ取らなければ、あとは何を食べてもいいといったやり方や、簡単にご飯だけ食べなければよいといった好ましくない方法が糖尿病の患者さんの間だけでなく、ダイエットをしたい人たちの間にブームとなって広まってしまったということも否めません。
そこで、第55回日本糖尿病学会(JDS2012)では極端な炭水化物制限食は好ましくないとし、「カーボカウント」は「食品交換表に基づく食事療法」の基本を変えるものではなく、食事療法を良好に導くためのひとつの手段として活用されるべきと表明し、糖尿病交換表の改定を発表し、3013年11月に食品交換表第7版が発売されました。
★食品分類表の中の1単位(80kcal)あたりの栄養素の平均含有量の一部が改正されました。
★食事に占める炭水化-物の割合について従来の60%エネルギーの配分例のほか、新たに55%、50%の配分例も示しました。
★タンパク質を標準体重1kgあたり1.0~1.2g、残りを脂質で摂取する。
●ヘルシープレートは、ご飯の量は体格に合わせてオーダーメイド。
●イラストどおりに盛り付けることで、炭水化物が約40~50%前後になるように工夫されています。
●期間限定3か月
●プレートを上下反対にして盛り付けることで炭水化物60%の和食バランスの食べ方になるよう工夫されています。
●研究成果のところでもご紹介しますが、ヘルシープレートは、タンパク質が体重1kgあたり1.0~1.2gに抑えられていました。
★炭水化物が減った分、脂肪やたんぱく質が増えるのは当たりまえ!!
★炭水化物制限で気を付けなければならないのは、過剰な動物性脂肪のとりすぎです。
★タンパク質は、腎臓の働きが未熟な小さいお子さんや、糖尿病歴、高血圧歴の長い方には、合併症の問題につながり、おすすめではありません。
●秘訣は野菜や、海藻、キノコ、こんにゃく類をたくさん、上手に利用することです!!